先日タンザニアのカカオの歴史と特徴をご紹介しましたが、今日はタンザニアのカカオ産地をご紹介します。
カカオの生育に適しているのは、平均気温が27℃以上で気温の上下が小さく、標高が低く、年間降水量2,000㎜以上の高温多湿な地域と言われています。チョコレート好きな方でしたら「カカオベルト」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います🍫カカオの生育に適した、赤道を挟んで北緯20度、南緯20度以内の地域のことを指します🌍コートジボワール、ガーナ、インドネシア、ナイジェリア、エクアドルなど、カカオ豆生産量上位国はいずれもこのベルトの中に入っています。生産量は少ないですが、タンザニアもカカオベルトに入っています。
日本国内でも一部地域で最近カカオ豆が栽培され始め、国産カカオ豆100%のチョコレートも販売されて注目を集めていますが、沖縄本島は北緯26~27度、小笠原(母島)は北緯26度なので、ビニールハウスを使って冬場にも温度を保つなどの工夫がされているようです。ちなみに比較的新しいカカオ豆産地として注目されている台湾南端の屏東県は北緯約22度です。
しかし、カカオベルトに入っていればカカオ豆の栽培に向いている、という単純な話でもありません。例えばタンザニアの北隣であるケニアは赤道直下にあり、カカオベルトのど真ん中なのですが、カカオ豆が栽培されているというのは聞いたことがありません。首都ナイロビは高度が約1,800mで、日中の日差しこそ強いですが、朝夕はかなり涼しいのです。また、標高が低くても乾燥した気候の土地が多く、降水量の少なさや湿度の低さがカカオ栽培には向いていないようです。ところが、ケニアの西隣で同じく赤道直下の国、ウガンダには湿潤な土地があり、カカオ豆が栽培されています。
ケニアの南隣にあるタンザニアは国土の面積が日本の2.5倍あり、地域によって気象条件も様々です。タンザニアのカカオ豆の最大産地はムベヤ州のキエラ(Kyela)県です。南緯約9度に位置するキエラはアフリカで3番目に大きい湖、マラウイ湖(タンザニア側の呼称はニャサ湖)の北岸の町です。かなりの内陸ですが、地溝帯(西リフトバレー)に位置するので標高が低くなっていて、気候がカカオ豆の栽培に適しています。大手チョコレートメーカーも調達拠点を置いています。
一方、藤野良品店が取引しているココアカミリ(Kokoa Kamili)があるのは、産地としてはキエラよりだいぶ小ぶりな、モロゴロ州のキロンベロ谷(Kilombero Valley)と呼ばれるエリアです(南緯約8度)。南北を山に囲まれた谷地で、土が肥沃で水資源にも恵まれた場所です。
タンザニアの最大都市であるダルエスサラームからは約500㎞の距離なのですが、訪問するは1日がかりです。早朝5時にバスに乗ってMorogoro経由でIfakaraへ(ここまでは舗装道路)🚌そこから乗り合いタクシーに乗り換えて未舗装のガタガタ道を行くこと2時間。ようやく夕方に産地のMbingu村にたどり着けます。ちなみに乗り合いタクシーというのは、3列2・3・3で定員8名のトヨタ・ノアに3・4・4の11人(しかもみんな大柄!)が乗るというシビアな乗り物です😵でも今ではそんな密な状況が懐かしいですね・・・😂コロナ禍で海外渡航もままならない状況が続きますが、いつかまた産地を訪問したいと思っています✈️