Cacao Beans / カカオ豆
タンザニア・モロゴロ州キロンベロ県ムビング村で栽培・加工された、Kokoa Kamili(ココアカミリ)の有機カカオ豆を2017年から輸入販売しています。
タンザニアのカカオ豆
アフリカ最高峰のキリマンジャロ山や数多くの野生動物に出会えるセレンゲティ国立公園などで知られるタンザニアは赤道を挟んで北緯20度から南緯20度の間の地域、いわゆる「カカオベルト」に位置する、カカオ豆の栽培に適した国です。タンザニアのカカオ豆栽培はドイツ統治時代の1880年代に始まったと言われています。タンザニアのカカオ豆生産量は約7,000トン(2020/2021年推定)と、世界の生産量(約502万トン)の0.1%強に過ぎませんが、味や香りが良く、油脂(カカオバター)分が多い良質なカカオ豆を産出することで知られています。
Kokoa Kamili (ココアカミリ)
タンザニアのカカオ豆はほとんどが小規模・零細農家によって生産されています。規模の小さい農家が自前で十分な発酵設備を持つことは難しく、発酵・乾燥プロセスにもばらつきがあるため、農産物としてのカカオ豆の品質は高いにも関わらず、往々にして安価なコモディティ(汎用品)として売買されてしまいます。また、発酵プロセスを経ずに乾燥させただけのカカオ豆が搾油用に買われていくこともあります。
南緯約8度に位置するモロゴロ州キロンベロ県ムビング村にて、fermentary(発酵所)という業態を立ち上げ、約2,000軒の小規模農家の代わりにカカオ豆の加工プロセスを担って付加価値を向上させ、世界のBean to Barチョコレートメーカーに高品質なカカオ豆を販売し、農家にも収益を還元することを始めたのがKokoa Kamili(ココアカミリ)です。
ココアカミリは、スタンフォード大卒で国際開発分野の経験があるBrian LoBue(ブライアン・ロブ)とSimran Bindra(シムラン・ビンドラ)の2人が、2013年にタンザニアで立ち上げた、カカオ豆の加工・輸出を手掛けるソーシャルベンチャーです。
ブライアンは、タンザニアで米国のPeace Corps(平和部隊)のボランティアとして活動した後、MBAを取得し、経営コンサルティングの仕事を経て、再びタンザニアに戻ってきました。シムランはアフリカ南部のレソトで仕事をしたあと、タンザニアのNGOに入り、国内のカカオの歴史を調べたり、農業省のカカオ開発戦略を策定する仕事をしていました。偶然にもブライアンは同じNGOで、タンザニアの製粉業者と協力し、小麦粉の加工工程や品質の改善に取り組むチームを統括していました。
タンザニアでカカオ栽培が最初に商業栽培されたのはタンザニアの東北部にあるTanga(タンガ)地区で、ドイツ統治下の1880年代のことだと言われています。こちらの記事でドイツ統治時代の新聞を紹介していますのでご興味のある方はご覧ください。
タンザニアのカカオ豆にはユニークな遺伝子があり、素晴らしいテロワール(生育環境)もある一方、発酵や乾燥が適切になされていないため、そのポテンシャルが活かしきれていませんでした。発酵と乾燥にはノウハウが必要で、手間のかかる作業ですが、手間をかけても販売価格は変わらないため、カカオ農家にはそうした工程を改善する動機がありませんでした。既存のバイヤーは、高品質のカカオに関心のない大手農産物商社でした。一方で、米国を中心にクラフトチョコレートの市場が急速に発展し、先進的なチョコレートメーカーは高品質のカカオを安定的に提供できる、新たな産地や生産者を求めているタイミングでもありました。
このような市場のギャップや機会があることに気づいたブライアンとシムランは、タンザニアでカカオ豆の最適な生産地を探してモロゴロ州のキロンベロ谷にたどり着き、カカオ豆の集荷・発酵・選別・乾燥を行うココアカミリの設立に至ったのです。なお、タンザニアのカカオ豆の9割以上を産出する大産地は、ムベヤ州キエラ(Kyela)地区ですが、こちらにはカカオ豆に関するプレーヤーが既に揃っており、カカオ豆の集荷・発酵・乾燥・選別・輸出といったバリューチェーンがほぼできあがっていたということもありました。
創業者のシムラン(左)とブライアン(右)
ココアカミリはカカオ農家から生のカカオ豆を周辺相場より高い価格(2020年実績では36%増し)で直接買い取り、自社の発酵所で厳格な品質管理の下、カカオ豆を発酵・乾燥・選別しています。発酵にはバナナの葉を使用した木製3段式発酵ボックス方式を採用し、温度をモニタリングしながら発酵させています。
ココアカミリは契約農家のカカオ栽培を支援するため、自社の種苗園で育てた優良な苗木をこれまで30万本以上提供してきました。一方、ココアカミリは違法な児童労働は一切容認しない方針を定めており、契約農家で違法な児童労働が一度でも確認されたらカカオ豆の買取を永久停止することを取引条件に定めています。
ココアカミリの扱うカカオ豆は農薬も化学肥料も使わずに栽培されたもので、EU、米国(NOP)および日本(JAS)の有機認証を取得しています。ココアカミリのカカオ豆は、Dandelion Chocolate(米国)、Fruition Chocolate Works(米国)、Raaka Chocolate(米国)、Svenska Kakaobolaget(スウェーデン)、Fjak Chocolate(ノルウェー)、Feitoria Do Cacao(ポルトガル)、Original Beans(オランダ)、Aruntam Chocolate(イタリア)、O Atölye(トルコ)、Mirzam Chocolate(UAE)、Fossa Chocolate(シンガポール)、green bean to bar CHOCOLATE(日本)など世界のBean to Barチョコレートメーカーで使われています。また、国際的なチョコレート品評会で多数の受賞歴があります。The International Chocolate Awards 2022、Academy of Chocolate 2022などにおいても多数の受賞作品でココアカミリのカカオ豆が使われました。
藤野良品店が輸入しているココアカミリのカカオ豆は、農薬も化学肥料も使わずに栽培されたことを証明し、日本においても表示が認められている有機JAS認証付きのものです。禁止農薬や化学肥料、遺伝子組換え技術などを使用せず、3年以上有機的管理を行った畑で生産されたものが「有機農産物」です。有機農業は、人々に安心安全な食べ物を供給するだけではなく、自然循環機能を維持増進し、健康で肥沃な土壌を作り、地球環境にも配慮するなど、人にも地球にもやさしい農業です。
◆カカオ豆の基本データ
産地 : タンザニア国モロゴロ州キロンベロ県ムビング村(Mbingu Village, Kilombero District, Morogoro Region, Tanzania)
生産者 : Kokoa Kamili(ココアカミリ)
フレーバー : ベリー、リンゴ、プラムのようなフルーティでフレッシュな果実香
発酵方法 : 木製3段式発酵ボックス
発酵日数 : 6日間
攪拌回数 : 3回(2日に1回)
乾燥方法 : 天日乾燥(天候によって4~6日間)
水分値 : 7%
品種 : 主にトリニタリオ種(アメロナードとクリオロの交配種)および一部ナシオナル種
有機認証 : 米国、EUおよび日本(有機JAS)
生産量 : ~120トン/年
1袋重量:30kg / 60kg (内袋に防虫・防湿用のGrainPro使用)
主な収穫期 : 6月~11月
※カカオ豆を麻袋でご購入されて焙煎前にカカオ豆を選別される際には9mm目のふるい(篩)を使われることをお勧めします
◆カカオ豆の受賞歴
ココア・オブ・エクセレンス(Cocoa of Excellence)プログラムは、カカオの品質と風味の多様性を評価し、農家の生活を向上させ、カカオのサプライチェーンの持続可能性を推進するために、2009年から実施されています。そのビジョンは、「カカオセクターの卓越性が、地域およびグローバルレベルで、しなやかで豊かな農業システムに様々な恩恵をもたらす」ことです。ココア・オブ・エクセレンスは、カカオ農家の努力を認め、品質、風味の多様性、ユニークな原産地を称える世界的なコンテストです。ココア・オブ・エクセレンスBioversity International、International Center for Tropical Agriculture (CIAT)、International Cocoa Organization (ICCO)などの組織によって運営されています。ココアカミリは、2017年と2021年にココア・オブ・エクセレンスを受賞しています。
Cocoa of Excellence Africa and the Indian Ocean部門 Silver受賞(2021年)
Cocoa of Excellence 受賞(2017年)
【カカオ豆のご購入方法】
少量であれば、Amazonからのご購入が便利です。
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