カカオ豆の産地、タンザニア・キロンベロから東京までの直線距離は約11,700km。はるばる遠くからやってきたカカオ豆を受け取って、麻袋を開けて焙煎する前にやること。それは「選別」です選別とは、カカオ豆を使用に適したものと使用に適していないものを分ける作業です
使用に適していないもの、の定義はビーントゥーバーメーカーさんによって異なると思うのですが、藤野良品店では、
・割れた豆
・皮が破けた豆
・薄っぺらい豆
・小さすぎる豆
・2つ以上がくっついた豆
・変色した豆
・発芽した豆
・カビた豆
・虫食い豆
を主に選別で「欠点豆(不良カカオ豆)」としてはじくようにしています(最後の3つは稀です)。
発酵の際にカカオ豆を包んでいたバナナの葉っぱの破片、カカオポッドの芯の部分(プラセンタ)、麻ひもの繊維やたまーに他の穀物の種子など、カカオ豆以外の異物が入っていることがあるのでそれらも取り除きます。見慣れない混入物を見つけると産地の様子が思い浮かんでちょっとほっこりします
さて、異物は取り除くのは当然として、上に挙げた豆(欠点豆)をなぜはじく必要があるのか、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません一言で言うと「味に悪影響を与えるから」です。
チョコレートを作るため、カカオ豆選別の次の工程は焙煎です。焙煎の際に上で挙げたような豆が入っていると、焙煎が均一にならず、小さい豆や割れた豆、皮が破れた豆が焦げてしまったり、くっついた豆の焙煎が不十分になったりして、カカオ豆本来の味が発揮できなくなるのです。カカオ豆と砂糖だけでチョコレートを作っているだけに味にごまかしはききません。ですので選別はシビアにやる必要があります。
ちなみに自家焙煎をしているコーヒー屋さんの多くもこういった選別をされています
例えばタンザニアのコーヒー豆は、大きさによってAA、A、AB、B、Cといった等級分けがされています(AAが一番大きくて最上級)。コーヒー豆も大きさがマチマチだと豆ごとに焙煎の程度が変わってしまうため、大きさを揃えて焙煎することが望ましいのです。それに加え、虫食い豆、割れた豆、潰れた豆、カビた豆などは味に影響を与えるため、欠点豆として焙煎前に取り除かれます(こだわったコーヒー屋さんでは)。高級なスペシャルティコーヒーであれば、選別は特にしっかりされていると思います。
カカオ豆の選別のため、藤野良品店では9mmメッシュのふるいを使っています。最適なメッシュサイズは産地やカカオ品種などによって異なると思います。例えば原種に近い小さめのカカオ豆でしたら9mmメッシュは大きすぎるかもしれません。なお、小さすぎる豆や砕けた豆などはふるいで落とせるのですが、そのほかの欠点豆や異物は目視で取り除く必要がありますので、選別にはそれなりの手間と時間がかかります。個人的には嫌いな作業ではないのですが、量が多いとさすがに目が疲れて肩が凝ります
藤野良品店が輸入しているココアカミリ(Kokoa Kamili)は、産地でざるを使って選別をしたうえで袋詰めしていますので、欠点豆はかなり少ない方だと思いますが、これまでうちが選別してきた実績だと重量ベースで5%くらいは欠点豆が発生してしまっています。ココアカミリのカカオ豆を使って下さっているチョコレートメーカーさんに対しては、欠点豆分の金額的なロスもさることながら、選別の手間をお掛けしているのを申し訳なく思っていました。そのため、ココアカミリには欠点豆の計量の結果を知らせたり、欠点豆のサンプルをEMSで送ったりして選別を改善できないものか、相談をしていました。
その甲斐があって、藤野良品店向けのカカオ豆は、2023年産について9mmメッシュのふるいを使って、ココアカミリの作業所で袋詰め前に選別をしてもらえることになりそうです輸送中の衝撃で割れたり皮が破けてしまう豆はゼロにはできませんが、小さすぎる豆や袋詰め前に砕けてしまった豆についてはかなり減らせるのではないかと期待しています。産地側ではこれまでより手間がかかることになりますので、これが継続できるか分かりませんが、まずはトライアルです。2023年産の豆がどうなるか、楽しみです。なお、産地ではじかれた豆は捨てられるわけではなく、B級品として売り先があるそうですのでご安心ください。
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