藤野良品店ではチョコレートの原料であるカカオ豆を炭火で焙煎しているのですが、先日その炭づくりの作業に家族で参加してきました。
作業現場は藤野の篠原(しのばら)という地区にある炭焼き窯。土を練って作った昔ながらの貴重な窯です。
この日の作業は「窯出し」と「窯入れ」。窯出しは事前に焼いた炭を窯から取り出す作業、窯入れは炭の原料である木を窯に詰め込む作業です。
窯入れの前には、山から木を伐り出し、運び、同じ長さに切り揃え、適当な太さに割る、という大変な作業があります。窯に火入れした後は、窯から立ち上る煙の色や勢いを見ながら窯に入れる空気の量を調節していく繊細で手間のかかる工程もあります。窯から取り出した炭は樹種、大きさ、形でランク分けして袋詰めします。
ここではクヌギ、ナラ、カシの炭が「御三家」と呼ばれていて最高ランク。ケヤキが続き、その他の樹種はまとめて「雑」と呼ばれます。
小粒な炭、樹皮の炭、灰はまた別に分けます。
バーベキューには「雑」で十分なのですが、藤野良品店ではカカオ豆の焙煎に火持ちが良くて火力が安定している「御三家」を使っています。
かつて藤野は炭焼きが盛んなところで、地域の農家さんにとって炭は畑仕事ができない冬場の貴重な収入源でした。今や普段の煮炊きや暖房に炭を使う人はほとんどいなくなったうえ、安価な炭が海外から輸入されるようになり、重労働でもある炭焼きは途絶えつつありました。その一方で、山が手入れされなくなったり、木が伐られずに大きく育ち過ぎて倒木のリスクが上がったりという弊害も出てきています。
藤野の篠原地区では、そんなトレンドをはね返して地域に炭焼きを残していこうと「篠原の里 炭焼き部」という団体が立ち上がり、ベテランの技術を若手が受け継いでいます。地元のキャンプ場で伐採した木を炭にし、そのキャンプ場でバーベキュー用に販売する、という新たな試みも始まっています。
カカオ豆を炭火焙煎することで、味に深みがある美味しいチョコレートができる、ということもありますが、地元の炭を使うことで山の手入れが進み、里山が守られる効果もあります。
藤野良品店ではそれに少しでも貢献できればと思い、これからも炭火焙煎にこだわってチョコレート作りをしていこうと思っています。
篠原の里 炭焼き部の方々、どうもありがとうございました&これからもよろしくお願いします!
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