忙しいチョコレートシーズンが始まる前にタンザニアのカカオの歴史と特徴を少しご紹介したいと思います。
タンザニアのカカオ栽培は1900年代後半に始まった、と紹介しているサイトもあるのですが、ココアカミリ(Kokoa Kamili)によると1880年代に始まったそうです。
1880年代というと、ドイツがいまのタンザニアの一部を植民地化した時期に当たります。アフリカには1830年代にポルトガル人によって中南米原産のカカオが初めて持ち込まれたそうです。そしてカカオ豆の世界的な産地であるガーナで初めてカカオが栽培されたのが1879年だそうなので、タンザニアはアフリカではかなり早い段階でカカオの栽培が始まったと言えるでしょう。
タンザニアの沿岸部にある、かつて奴隷貿易の拠点だったバガモヨにある歴史博物館に行ったことがあるのですが、ここにドイツ植民地時代の新聞”Usambara Post”の1913年1月25日付け紙面のコピーが展示してありました。
あいにくドイツ語は読めないので翻訳サイトの力を借りて解読してみると、当時の輸出品を紹介したコーナーでKaffee(コーヒー)、Kopra(乾燥させたココヤシの胚乳)の間に記載されていたのがKakao(カカオ)。
1911年に8,000㎏、1912年に11,840㎏のカカオ豆がタンザニアからドイツに輸出されていたようです。コーヒー豆やサイザル麻などの他の輸出品に比べると量はだいぶ少ないですが、わざわざ記載するということはそれなりに重要な輸出品目だったのでしょう。
カカオ豆の品種は大きく分けてクリオロ(風味に優れるが栽培が難しい、世界の生産量の1%未満といわれる希少種)、フォラステロ(耐病性が強く収量が多い、生産量の約90%を占めるといわれる品種)、トリニタリオ(クリオロとフォラステロの交配種で風味の良さと丈夫さを併せ持つ、生産量の10%程度を占めるといわれる品種)という3つがあるのですが、タンザニアのカカオ豆はトリニタリオが多いと言われています。ベリー系のフルーティな香りと爽やかな酸味がタンザニアのカカオ豆の特徴です。
栽培開始の時期こそガーナとほぼ同じでしたが、ガーナ(シェア14.5%)とガーナから栽培が伝わった隣国のコートジボワール(シェア39%)と合わせると世界シェアは50%超!一方、タンザニアのカカオ豆の世界シェアはたったの0.1%(2020/2021年推定)😳
何が命運を分けたのか語れるほど知見がないのですが、タンザニアは国土が広く、地形や気候が多様で、カカオ豆以外に栽培に向いた作物がたくさんあったからかもしれません。
マイナー作物ならではの良さもあります。フォラステロ種を導入して生産量を増やす、という方向に舵を切らなかったため、風味の良いトリニタリオが多く栽培されています。また、タンザニアではカカオの栽培が産業化されておらず、ほとんどが小規模農家によって栽培されているため、農薬や化学肥料はほとんど使われていません(ココアカミリは有機認証取得)。
カカオだけを単一栽培するのではなく、バナナやパッションフルーツ、豆類、サツマイモなど、ほかの作物を一緒に育てたり、家畜を飼ったりする農家も多いです。西アフリカで取り上げられるような児童労働問題も聞いたことがありません。タンザニアのカカオ豆のおいしさの秘訣は品種の良さに加えて土壌の豊かさとおおらかな栽培方法にもあるのかな、と思っています。
つらつらと書いていたらずいぶんと長文になってしまったのですが、以上、タンザニアのカカオの歴史と特徴でした!
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