藤野良品店がタンザニアから輸入しているココアカミリ（Kokoa Kamili）のカカオ豆は、有機JAS認証を取得したものです。
有機JAS認証について時々質問を頂くことがあるので、少しご説明したいと思っています。
少し、と言いつつ書いてたら長文になってしまったので、そちら方面にご興味ある方のみお読み頂ければと思います(^^;

有機農産物というのは、一般的に「化学肥料や化学農薬を使用せず有機肥料で栽培された農産物」といった感じで理解されていると思います。
多少の例外はありつつもほぼその通りなのですが、日本にはJAS法（日本農林規格等に関する法律）に基づく有機JAS規格というルールがあり、無農薬で有機肥料を使って育てた農作物であれば「有機」「オーガニック」と表記できるわけではありません。
農産物に「有機」「オーガニック」と表記するためには、農家が登録認定機関（第三者機関）の審査を受け、「有機JAS認証」を取得する必要があります。
また、有機JAS認証を取得するには、種まき・定植の2年以上前（カカオなどの果樹などの場合は収穫の3年以上前）から農薬と化学肥料を使っていない畑で栽培されている必要があります。
一方、農薬や化学肥料を使わずに栽培していても、有機JAS認証を取得しない選択をする農家も少なくありません。
手間と費用がその大きな理由です。有機JAS認証を取得するには、申請費や検査費などの費用がかかりますし、有機JASマークのシール代のコスト、毎年の検査受け入れや栽培管理記録の作成などの手間も無視できません。
費用と手間の面から考えると有機JAS認証の取得は農家にとって負担が大きいのです。

こう書くと、タンザニアのカカオ農家が、費用も手間もかかる有機JAS認証を受けられるのだろうか？と疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
実は、取りまとめ役であるココアカミリの存在によってそれが可能になっています。
グループ認証という有機認証の方法があり、ココアカミリが農家グループとして認証を申請し、認証費用を負担することで有機認証を取得することができているのです。

ココアカミリが送ってくれた直近の2022年の認証（左の写真）を見ると、1,337軒のカカオ農家の1,029haの農地が有機JAS認証の対象になっています。
平均すると1軒1ha未満と小規模ですので、農家がそれぞれ有機認証を取得するというのは現実的ではないことが分かります。
ちなみに加工食品にも有機JAS規格があります。
「有機加工食品」は、原材料の95%が有機農産物によって加工された食品のことで、製造（生産、加工、包装）のプロセスも有機JAS法に基づいて認証を受けている必要があります。

藤野良品店の「里山クラフトチョコレート」は有機カカオ豆と有機砂糖だけで作っていて、原材料もそのように記載していますが、製造プロセスは有機JAS認証を取っていませんので「有機チョコレート」とは表記できません（＞0＜）

そもそもそんな面倒な仕組みは必要ないのでは？と思う方もいらっしゃると思いますが、2001年に有機JAS法がスタートするまでは有機食品に関する表示ルールがなく、不適切な表示や生産基準の不統一が問題になっていました。
それぞれが自分の基準で「有機」「オーガニック」と謳っていたら消費者も混乱しますよね・・・

こうした仕組みに頼らず、生産者と消費者の信頼関係に基づき、安全安心を担保する、という考え方もあると思います。
あの人の農産物だったら安心して食べられる、あの人が育ててくれたから大丈夫、ここの直売所では誰誰さんのものを買うことに決めている、といった関係はむしろ理想的だと思います。
藤野にも有機JAS認証を取得していない有機農家さんは何人もいて、私もその方々のお顔を思い浮かべながら野菜などを美味しく頂いています！
でも農産物の場合でも、通常は生産者から消費者に届くまでに卸や小売店、宅配業者などの流通経路がありますので、消費者が生産者のことを直接知らなくても有機JASマークがついている、ということは安心材料になると思います。
カカオ豆の場合は、野菜や果物などとは違って加工食品の原料として使われますし、生産→加工（発酵・乾燥・選別）→輸出入→販売→加工（チョコレートに）→消費という一連の流れが長いので、有機認証が役立つ場面があります。

有機栽培かそうではないか、有機認証があるかないか、気にかける人もそうではない人もいます。
有機認証というのは、結局のところ、商品を選ぶときの基準の一つに過ぎないと思っていますが、藤野良品店では、環境に配慮した、栽培者にも消費者にとっても安心な有機JAS認証付きのカカオ豆の輸入を今後も続けていきたいと思っています。

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